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傍聴夢譚 海老名市在住 青木 格一 昨年の正月は220万部突破といわれる藤原正彦著「国家の品格」を遅ればせながら手にしてみた。これをベースに描かれたともいわれる「美しい国日本丸」は見事に自沈してしまった。 今年は女房殿の書棚にあった07年最大のベストセラー坂東真理子著「女性の品格」を横目で見ながら同氏の「親の品格」を斜めに読んで見た。 お説ごもっともで反論する気はさらさらなく、私はあまり品格のある親ではなかったことを素直に反省している。次は誰かに「議員の品格」を著わして欲しいと思っている。 新年早々(1月8日)「政務調査費改革かながわ見張り番」は政務調査費に関する住民監査請求書を県監査委員に提出した。個別外部監査を請求したがあっさりと棄却され内部監査となった。(もしかして審理もせずに却下されたのかも) 1月22日、意見陳述を傍聴に行き監査事務局の面々を目の当たりにした時、青春時代に見た映画「オルフェの遺言」のワンシーンを思い出した。この映画は、詩人であり、小説・演劇・バレエ・映画・評論・デッサン等々あらゆるジャンルを超えたマルチアーティストで、20世紀前半のヨーロッパを駆け抜けたジャン・コクトー(1889-1963)が、自ら制作・脚本・監督・主演をしたコクトーの遺言といわれる作品である。非常に難解な映画で、実を云うと私にはまったくと云うほど理解出来なくてストーリーもほとんど覚えていないが、なぜかこのシーンは心に残っている。主人公の詩人(コクトー)が生死の境を彷徨する中で裁かれるとき、判事が「自分は罰として人を裁く仕事に就かされた」「“人を裁く”ということは最も苦痛に満ちた仕事」であると云う問答を主人公の詩人(コクトー)と交わすシーンである。 何の罪だったか記憶にないが、前世で悪いことをしたから人を裁く仕事に就かされたのだという発想の中にコクトーの謙虚さを、垣間見て今も心の片隅に残っている。 監査事務局はこれから60日間、“議員を裁く”わけではないが、政務調査費の使途明細をしっかりと質して行かなければならない。 彼らが前世でいかなる罪を犯したのか知る由もないが内部監査になった以上、苦痛に耐えて、しっかりと監査して頂きたい。と願いつつ、コクトーと判事の問答シーンを思い起こしていた。 結果として不透明な政務調査費の使途がなくなり「議員の品格」が損なわれることがなくなれば幸いである。夢に終わらぬことを祈る。 #
by k-mihariban
| 2008-02-06 23:06
| 機関誌
意見陳述を聞きながら 高田 敏行 議員連盟費や新聞購読料を中心に「目的外支出」約8億円の返還を求めて、というと、然して悪い遣われ方をしていないと受け止められ兼ねないとの印象を受けました。 へぇー、とんでもない所業をしているのだ、との市民の強い共感を呼ぶ記事にはなっていないんですね。残念ながら。 心ある市民団体が、大変な作業とあまり馴染みのない手続きを経て、漸く監査請求に漕ぎ付け、貴重な監査結果を得た、ということそのものが、今後の住民・地方自治への道標と見るべきと考えております。 監査人監査の結果も無論大事ではあります。 常識市民の多くは、然もありなむ、と至極当然の帰結・監査結果と受け止めるでしょうが、その非常識さ加減を覆すのに大変な努力を要したわけですね。 その心ある市民団体が何を問題とし、どんな努力の末にここまで来たのかを多くの心ある市民に承知してもらい、日常茶飯事的に斯様な事が、長年にわたり行われて来ていることをしっかりと理解・認識して貰うことも極めて大事なことと理解します。 そんな共通認識に立って、リストラの進まない行政の実態・議会のありよう・自律しない議員の右へ倣え的言動を共に見守りチェックし(透明性と徹底した情報開示が担保されれば、任せますが)、改革をすすめられれば、その努力が大いに報われた、との思いを強くすることでしょう。 見張番が、更に大きくジャンプするような気がします。 結果を受け、さっさと返還、結果報告の新聞記事になり、それでハイお仕舞いでしょうか。 詐欺・横領紛いの大変な事案ですがね。 市当局あるいは市議会(議長が絡んでいるんですよね)を通じて、ことの顛末が、公表され、謝罪表明とかがあって然るべしと思うのですが如何でしょうか。 私の友人・周りの市民の反応は、総じて鈍い、というのが実感です。 とりあえず読売新聞以外の他紙も読んでみます。 ご意見・投稿募集! この「ご意見番」コーナーに是非貴方のご意見をお寄せ下さい。 テーマは「政務調査費」や「議員」、「地方議会」に関係するものを中心にお選びください。 「かながわ見張番」へのご意見も歓迎します。 送り先 文 書 214-0033 川崎市多摩区東三田2-4-6 FAX 044-900-4607 メール mihariban@npo-siminken.net #
by k-mihariban
| 2008-02-06 23:05
| 機関誌
5.直近の判例・監査結果紹介 京都府議会・住民監査請求結果 平成18年度分 会派 26,305,597円 議員 49,687,689円 の政務調査費返還勧告を出す! 平成19年9月18日、京都府民からの「府議会政務調査費」について住民監査請求が出され、個別外部監査請求は神奈川県と同様に却下となったが、2ヵ月後の11月表題に示すような「監査結果」が示されたことは評価される。 交付確定額(円)監査請求額 (円)返還 (円) 会派74,173,90373,873,78826,305,597 議員295,440,903289,953,68549,687,689 以下、この監査における監査委員の判断を示し、神奈川県の監査と比較参考としたい。 (1)個別外部監査の却下理由 監査委員の身分は法第197条の2により身分保障が規定され、更には法198条の規定により、職務の遂行に当っては「常に公正不偏の態度を保持し、監査しなければならない」と規定されていることから、識見監査委員が議会及び議員への独立性が脆弱であるとの請求人の主張には理由がない。 (2)監査基準 ①公金の支出である以上、領収書の取扱いに関し厳格な要件を定めた。 ②食料費については費目の如何を問わず対象外とした。但し参加会費と不可分のものについては社会通念上の妥当性を超えない範囲で認めた。 ③政務調査活動以外の経費と不可分の経費が政務調査費に計上されている場合は、一定の割合で「按分」して認めることとした。 事務所費(事務費を含む)、人件費については議員が「すべて政務調査活動で使用した」と主張した場合でも、明確な証拠がない限り「按分」を基本とした。 ④交通費、タクシー代、ガソリン代について利用区間及び用務内容が明示されている場合は全額認め、明示されていない場合も「按分」により認めた。 ⑤調査研究の委託、広報費に係る印刷物等の成果品については、支出の根拠として確認できることを要件とした。 ⑥書籍及び事務用品については、政務調査活動に資するものかどうか、購入書籍等の明細が確認できることを要件とした。 ⑦人件費については、勤務実態や給与支払い報告書等により支出を客観的に確認できることを要件とした。 特に生計を一にする親族を雇用している場合の人件費については、支払実態について誤解を受けやすいことから、緩和措置の対象から除いた。 (3)監査結果(一部抜粋) ①会派分 自由民主党 京都府議会議員団 1)意見交換に係る飲食代は目的外支出と判断 2)議員連盟に対する研修会負担金は領収書が確認できない経費、飲食を主目的とする経費等は目的外支出と判断 3)退職手当の支払準備積立金は目的外支出と判断 その他の会派 1)領収書で支出が確認できない経費は目的外とする 2)旅費のうち日当は目的外、食卓料も目的外とする 3)名刺代、茶菓子代、日常生活用品経費は目的外とする 4)各1部を超える新聞購読料は目的外とする 5)広報印刷物の政務調査目的以外の掲載部分相当の経費は目的外とする 6)謝礼先等が明らかでない商品券、ギフト券は目的外とする 7)次の経費の一定割合を超える部分は目的外とする タクシー料金、インターネット料金、高速料金、駐車料金、電話代、交通費等々 ②議員分(目的外支出判断事例) 1)領収書等で支出が確認できない経費 2)旅費のうち日当は目的外、食卓料(宿泊費のうち食事相当分)は目的外 3) 広報印刷物の政務調査目的以外の掲載部分相当の経費は目的外。郵送料も同様目的外 4)名刺、清掃用品、生花、レタックス、車両の維持経費、損害保険、茶菓子、町内会費、玄関インテリア代、手土産代、日常生活用品は目的外 5)次掲げる経費の一定割合超過分は目的外と判断 人件費、ガレージ代、タクシー料金、駐車料金、ガソリン代、事務所賃借料、光熱水費、電話代、事務機器リース代、携帯電話料金、コピー代、備品購入費、テレビ受信料、インターネット利用料金、コンピューターサポート料、事務用品賃借料、資料保管庫使用料、レンタルサーバー代、汲み取り料、借地料、車両運転サービス料 6) 生計を一にする親族等の人件費は、給与支払報告書等の提出がなく、支払いが客観的に確認できない支出は目的外 7)支出内容が不明で支出が確認できない経費は目的外 8)飲食を主目的とする懇談会経費、個人として加入している団体経費は目的外 9)会議に引き続く飲食代が含まれる場合は5千円を超える部分は目的外 10)各1部を超える新聞購読料は目的外 11)本人が誤って計上したと申し出があった支出は目的外 等々 以上 (評価) 個別外部監査却下の理由といい、この監査基準と結果も筋がピンと通っている。 内容的にも川崎市の個別外部監査よりも厳しく、例えば領収書の無いケースでは全額目的外支出(川崎市は3割)とし、広報費では政務調査研究目的以外の掲載部分は目的外支出と明確に判断している。加えて食事代は一切認めない等、今までの内部監査の認識を改めなければならないと思う程の判断基準を示し、全会派・全議員に目的外支出の存在を指摘している。 神奈川県の監査委員も、ぜひこのぐらいの発想と見解を示して欲しいと痛切に感じられた。 #
by k-mihariban
| 2008-02-06 23:03
| 機関誌
6.今後の活動予定 1.川崎市議会住民訴訟(横浜地裁) 事件番号 平成19年(行ウ)第105号 損害賠償請求事件 第1回・口頭弁論 期日 平成20年3月3日(月)11時30分 場所 横浜地方裁判所 被告側(機関たる川崎市長)がどのような弁護方針を立てるのか注目されます。 是非傍聴にお出かけください(訴外各会派も訴訟に参加してくることが見込まれます)。 2.神奈川県議会政務調査費・住民監査請求 通常の内部監査委員による監査として、 受理されており、請求人の「意見陳述」は1月22日に行っております。 なお、監査委員から各会派・議員に次のような協力依頼が出されております。 ①文書提出依頼 ア.平成18年度の会計帳簿(写し) 政務調査費支払内訳調書 証拠書類(領収書、契約書等) 期限 平成20年1月17日(木)迄 イ.平成15年~17年度の会計帳簿他 同上書類 期限 平成20年1月25日(金)迄 ②予備調査 平成20年1月21日~2月1日(金) ③関係人調査(予定) 平成20年2月1日~2月14日(木) 上記の予定で神奈川県議会「政務調査費」の監査が行われるようで、結果が注目されます。 なお、監査結果は60日以内に公表ですが、60日目が土曜日のため神奈川県では3月10日(月)が監査結果公表期限となるようです。(請求人に有利にとの行政解釈のようですが、?です) 3.機関誌「見張番」発行予定 1.定期発行ではなく、問題提起に対応した随時発行体制とします。 創刊号は「しみんけん」25号と合同による政務調査費特集号として1月18日発行済み 第2号 神奈川県議会 意見陳述特集 2月1日発行 第3号 川崎市議会訴訟第1回口頭弁論を中心として 3月10日頃発行予定 第4号 県議会監査結果を中心として 3月20日頃発行予定 以下各事件の展開に応じ適宜発行いたします。 購読をご希望される方は見張番事務局(裏表紙参照)迄お申し込みください。 年間購読料一括 3,000円(送料込み) #
by k-mihariban
| 2008-02-06 23:02
| 機関誌
代表理事 奥田久仁夫 新年明けましておめでとうございます。 懸案の川崎市営地下鉄建設問題は国の予算が平成20年度も引き続き認められず、実質凍結状態が続くと見込まれます。昨年秋の阿部市長のタウンミーティングでは、声高に「建設推進」としておりましたが、当分の間着工の目途は立ちそうにありません。 そのなかで、横浜市営地下鉄4号線が今年3月開業となり、交通不便地域とされていた川崎市西部(高津区、宮前区の一部)住民には鉄道不便地域から解消される見込みです。 この開業により横浜市営地下鉄3号線延伸(あざみ野~新百合ヶ丘間)事業着工の環境が整うこととなりますが、川崎市以上に財政が厳しい横浜市、楽観はできません。 今後中田市長の政治的決断を見守るとしても、この3号線が着工となれば、川崎市営地下鉄建設事業は完全にストップすることとなるでしょう。 さて昨年は、神奈川県全体を視野に、県内各自治体の「政務調査費」を取り上げようと、市民団体「政務調査費改革かながわ見張番」を神奈川県内の市民活動家有志と共に立ち上げ団体会員として「市民研」を登録致しました。 そして昨年11月末には川崎市議会議員の政務調査費について、過去4年度間分の個別外部監査の結果が公表され、2.5億円の違法支出が存在するとの監査結果を得ることが出来ました。全国でも昨年6月に出された大阪府議会の個別外部監査返還勧告3.4億円につぐ高額な勧告であったことや、政令市として初めてということもあって、マスコミ各誌でも報道され、全国的に注目を浴びているようです。それにしても各会派、議員の政務調査費の使い方のお粗末さは想像を絶すると言っても過言ではないひどいものでした。 詳細はこの機関誌本文に譲るとして、監査委員が4年度分2.5億円の違法支出の内、 ①2年度分1.2億円の返還勧告に留めたこと ②自民党会派の領収書等の裏付けの一切ない支出約2億円に対し、その7割を政務調査費に適合する支出と認め、残り3割のみを目的外支出に留めたこと(民間では裏付けのない支出は全額返還が当然です) ③政務調査活動費と議員活動費との按分が不適切であること(民間では事業用経費と自家経費と当然に按分している) 等々と問題点が多く、昨年12月、総額4.72億円の返還命令を市長に出すよう求める「住民訴訟」の道を選択いたしました。 「政務調査費」の交付制度・支出のあり方を問う「制度改革」をも目指した訴訟とする予定ですが、弁護士も付けず、文字通りの「住民訴訟」を有志と共に闘っていく予定です。 市の財政問題や地下鉄問題にも目を配りながら、これからも挑戦してまいります。 なお、新年早々のこの1月8日、神奈川県議会の政務調査費についても7.7億円余の返還を求める住民監査請求書(個別外部監査として)を神奈川県監査委員に提出しております。川崎市、神奈川県と二つの自治体の桁の大きい金額問題に取組む1年となるようです。 どうかこの一年もご支援を頂きますよう宜しくお願い致します。 #
by k-mihariban
| 2008-01-18 22:14
| 機関誌
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